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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【11月12日】~物価上昇と言う難問~

2021年11月12日

アメリカの消費者物価が発表され、前の年の同じ月と比べて6.2%の上昇と、ほぼ31年ぶりの高い上昇となりました。

サプライチェーン=供給網の混乱もあって、世界的にインフレ圧力が高まっており、コロナ禍からの経済回復に向けた大きな足かせとなっています。

これは景気の回復で様々なモノやサービスの需要が高まっているのに対し、供給が追い付かず、値上げの動きも加わり、更に原油の価格も大幅な上昇になったためです。

さすがに利上げも視野に入れるかと先週開かれたFOMCでのパウエル議長の証言を注視していました。

同氏が発言したポイントを以下にまとめます。

「物価と賃金のスパイラル的上昇を確認していない」

「見通し次第で、資産購入ペースを加速、または鈍化する準備」

「来年の第2、3四半期にはインフレは弱まるだろう」

「今は利上げの時期ではない」

「利上げに関し、FRBは辛抱強くなれる」

「インフレへの対応を躊躇しない」

「会合の焦点は資産購入の縮小、利上げではない」

「供給と需要の不均衡が物価上昇に貢献」

とのことで、要するに物価の上昇は「一過性」であり、「恒久的な物価上昇はない」との解釈になります。

もっと切り込んで言えば、インフレになるリスクを冒しても利上げをしないと言いたいのかも知れません。

日欧米の株式市場が本格調整に入るとすれば、それは「実際に利上げが実施されたとき」という事が、今回の動きで「コンセンサス」になりました。

上は余談です。

小生が申し上げたいのは「インフレはむずかしい」と言う事です。

ハイパーインフレなどになると、計算がむずかしくなって経済が混乱します。

だから貨幣価値というのは安定しているのがいちばんです。

しかし、一方で100円のコーラが10年も20年もずっと同じ100円であるというのも問題なわけで。

要するにインフレは厄介だけど、それ以上に一度デフレに陥るとそこからの脱却は非常に困難であるということを我々はこの数十年、身をもって体験しました。

物価という難問にどのような解があるか、ここ半年は要注意になるでしょう。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。