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【真実一路】内田晋也の投資コラム

【12/30】本年もお世話になりました

2021年12月30日

【年末挨拶】

早いもので、年末の挨拶をする時期となりました。

本年も会員様には格別のご配慮を賜り、心より感謝申し上げます。

本年も新型コロナによる影響で難局に直面する状況が続き、そのご苦労はいかほどかと拝察いたします。

先を見通しづらい状況ではございますが、健やかにお過ごしになれますようお祈り申し上げます。

来年も一層のサービス向上を目指し、社員一同誠心誠意努める所存でございます。

何卒新年も、ご支援のほどお願い申し上げます。

よろしければ2022年相場見通しをご覧ください。

【投資環境】

11月中盤以降厳しい相場展開が続いています。

オミクロン株の出現やテーパリング加速といったネガティブ材料はありましたがそれにしても日本株の地盤沈下、大袈裟に言えば日本沈没のような不安を感じてる方も多いのではないでしょうか。

東京証券取引所が発表した投資部門別売買動向によりますと岸田文雄首相が誕生して以降、外国人投資家はほぼ一貫して売り越し基調が継続しています。

外国人投資家の警戒している問題の根本は岸田氏が主張している「新しい資本主義」にあると思われます。

この旗をいつ降ろすかによって日本株の帰趨が決まると見ています。

先に行われた所信表明演説の要点を見てみましょう。

・人類が生み出した資本主義は、効率性や、起業家精神、活力を生み、長きにわたり、世界経済の繁栄をもたらした。

・しかし、1980年代以降、世界の主流となった、市場や競争に任せれば、全てがうまくいく、という新自由主義的な考えは、多くの弊害も生んでいる。

・市場に依存し過ぎたことで、格差や貧困が拡大し、気候変動問題なども深刻化した。

・世界では、弊害を是正しながら、さらに力強く成長するための、新たな資本主義モデルの模索が始まっている。

・・・だそうです。

率直に申すと多くの誤解を含んでいると言わざるを得ません。

確かに米英といったアングロサクソン国家では、行き過ぎた資本主義、行き過ぎた株主至上主義が格差を生み、弊害を生んできました。

しかし、我が国ではそんな状況には至っていません。

むしろ株主軽視の時代が長く続き、新自由主義的なダイナミズム、新陳代謝のシステムがないまま、淀んだ経済が続いています。

理解を容易にするために世界の時価総額ランキングの推移を見てみましょう。

12月20日時点で世界株式時価総額のトップ5はアップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックの米国ネットインフラ企業です。

2007年、世界の株式時価総額トップはエクソン(石油)、GE、マイクロソフト、シティーグループ、ATTと、マイクロソフトを除き銀行、石油、通信、電機などの戦前からの伝統的優良企業であったことと比べると顕著な主役交代が起きていることが明白です。

まさしく主役企業の栄枯盛衰=新陳代謝が活発に行われています。

これに対して日本の場合はどうか。

2007年のトップはトヨタ、三菱UFJ、みずほFG、キャノン、NTTドコモです。

2021年12月時点でトップ5はトヨタ、キーエンス、ソニーグループ、NTT、三菱UFJ銀と、キーエンスとソニーを除けば昔からの殿様企業であり、ほぼ代わり映えがありません。

しかも各社の時価総額は2割以上減少しています、主役交代が起きないままで、主役の勢いが衰えているのです。

世界の時価総額推移を見て言える事は、経済の新陳代謝を求めずして「分配」を実施しても強い経済はいつまでたっても築けないと言う事です。

言うまでもないことですが、イギリスのサッチャー女史が言ったように「金持ちを貧乏にしても、貧乏人は金持ちになれない」と言う事なのです。

岸田さんが新自由主義の旗を降ろさない限り、どうしたって反・市場主義的なスタンスが続くことになります。

日本の株式市場、すなわち資本市場に関わる立場からすれば、「資本主義がもつ活力を長期にわたり失うことへの警戒感」が海外投資家に危惧されている、日本株離れの根底にあると見ております。

資本市場をまるでわかってない政治家に翻弄される展開は当面続く可能性が高いのではないのでしょうか。

これからもマーケットに対する政治からの逆風は続くと見ています。

その一方で、足元のコロナ感染者は極めて低く抑えられています。

過去2年でコロナとの付き合い方を十分学んできました。

ワクチン接種も進み、早くも3回目の接種も始まっています。

米では治療薬の承認もありました。

ウイルス自体が変異のたびに弱毒化していく事実を踏まえますと、来年の何れかの段階で、日本国内は「感染者ゼロ」と言う日がくるのではないでしょうか。

待ちに待った「コロナ終焉」です。

そうなりますと、世間の雰囲気は格段に明るくなります、景気の先行きについても明るさが増します。

当然株式相場のセンチメントも大きく改善するでしょう。

今はコロナ禍にあって企業は保守的な企業業績を出しており、株式市場はそれに基づいて保守的な相場形成を余儀なくされています。

その様な保守的な状況から平均的な評価に戻るだけでも3万7000円前後は期待できるのではないでしょうか。

日経平均の来期予想EPSを2385円と仮定し、過去の予想PERの平均15.5倍で評価したのが3万7000円だからです。

来年は政治リスクに注意しつつ、参院選挙前の景気対策に注目した上でお取り組み頂きたいと思います。

簡単な相場は一日としてありませんが、今後も全力でご助言させて頂きます。

今後ともよろしくお願いいたします。

投資調査部 内田
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内田晋也(うちだしんや)

略歴

1973年千葉生まれ。大学時代は経済学部にて国際貿易金融論を専攻し卒業。1996年より現三菱UFJモルガンスタンレー証券にて営業職として勤務。20歳代で手数料ランキング1位を成し遂げる。その後、極東証券に移籍しディーラーへ転身。ポジション3000万からスタートし、そこから6000万→1億→3億→6億と目覚ましい活躍をするも、これまで20年間で培った経験を個人投資家へ伝えたいとの思いから投資助言の道へ。2017年7月よりG&Dアドヴァイザーズへ入社し現在に至る。